EXHIBITION

Ruby Neri

「Weights and Measures」

2023/5/27 Sat - 7/1 Sat

KOSAKU KANECHIKAでは、2023年5月27日から 7月1日まで、Ruby Neri展「Weights and Measures」を開催いたします。

ロサンゼルスを拠点に制作するRuby Neriは、古代彫刻やフォーク・アートの影響、そしてベイエリアのフィギュラティヴ・ムーブメント、ストリートアート、コミック・カルチャー等、北カリフォルニアのさまざまなアートコミュニティでの経験と豊かな歴史の影響から、特徴的な女性のタイポロジーを描いています。その女性像は喜び、恐怖、アンビバレンスといった人間の感情や、圧倒的な生命力に満ち、以前制作していたグラフィティのマークメイキングが彫刻へと転写されたように表現されるその作品には、色とトーンの強いエネルギーが渦巻いています。

Neriは彫刻の素材として、セラミックを使ってアイデアや思考を追求しています。彫刻は彼女にとって最も自由なメディアであり、セラミックがもつ素材としての物質性と、それをアーティストが扱う際のフィジカルな側面、どちらもNeriにとって非常に重要です。制作をする際の身体的な行為と素材が密接に関連しあうことが、彼女の作品のダイナミズムを支えていると言えるでしょう。セラミックというコントロールできない素材を使うことで、心理的な領域の追求が可能になり、さらには無意識、作為を超えた何かが前景化してくる余地をも生み出します。その意欲的なセラミック彫刻作品群によりNeriは、現代アートにおける世界的なセラミックの潮流を20年以上に渡って牽引してきました。

Neriの作品の鮮烈な視覚性は、描かれている人物が示唆する物語と相互に、また密接に作用しています。挫折しそうなほどの困難さ、勝利、希望に満ちた未来、セクシュアリティ、女性として世界に生きること、そこで起こる様々な感情——不安、葛藤、喜び、これら全てが凝縮されたような物語は、個人的なものであるようでいて、普遍的なものにも思えます。それはNeriの作品が人間の生、生命力の豊穣さを、真正に表現しているからだと言えるでしょう。

アメリカを中心に国際的なアートシーンで注目されるNeriの、日本で初めての個展である「Weights and Measures」について、Neriは以下のステートメントを寄せています。

 

この展覧会「Weights and Measures」の中心となるのは「Weight in Gold」というタイトルの作品です。2人の存在感のある人物が背中合わせに配置され、それぞれが金色の2人の小さな人物を手に持っています。その下には、胎児を思わせるような、蹴ったり手を伸ばしたりするキャラクターの小さな海が渦巻いています。金色の小さな人物は、ある意味、大きな人物に「体重」をかけられているようなもので、その人物は必然的に彼らの差し迫った未来を規定しているようです。

具象的な要素は、ここでは複数形として示されている、ひとりの女性のアイデアを表現する必要性から生じたものです。このキャラクターは、複雑で多面的な有機体として存在し、多くの要求や明示されない期待に直面しています。彼女は、出産や育児の現実、人間関係の共依存、社会的な危険、伝統的な構造によって定義された人生の目標に直面しながら、知性を区分けし、個人の定義を見出した人物で、性的な自由、私的な喜び、身体のめぐるポリティクスからの解放という捉えどころのないアイデアをも醸し出しています。

この人物は、ユートピア主義に関わるフェミニズムのイデオロギー、外界からは独立した私的な世界、自分自身の道を歩む世界を求めています。このフェミニズムの思想は、子供を産む女性がいまだに足場とする凝り固まったジェンダー構成に触れ、強制的な労働、支配、服従などについても探究しています。 そのいっぽうで、セクシュアリティを自己防衛、ユーモア、自己実現の一形態とみなしてもいるのです。この反面教師のような女性像は、自己管理を一種の社会的制約になぞらえ、身体を保護を必要とするものと考え、裸をハイヒールを含む肉体のスーツという鎧と見なしています。

 

このステートメントにおいて、アーティストが自らの言葉でその探究の深みを表現した「Weight in Gold」のほか、2023年に入り制作された最新作の彫刻10点と、ドローイング7点を展示します。この貴重な機会にぜひご高覧ください。

 



展覧会概要

展覧会名
Ruby Neri「Weights and Measures」

展覧会会期
2023年5月27日(土) - 7月1日(土)
5月27日(土) 17:00 - 19:00 オープニングレセプション

開廊時間
11:00 - 18:00
日・月・祝は休廊

会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA Art Complex 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com

入場無料




Ruby Neri(ルビー・ネリ)

1970年カリフォルニア・オークランド生まれ。1994年にSan Francisco Art InstituteでBFAを、1998年にUniversity of California, Los AngelesでMFAを取得。現在はロサンゼルスを拠点に制作しています。ロサンゼルスのDavid Kordansky Gallery、ニューヨークのSalon 94などで個展を多数開催しています。主なグループ展に「Made in L.A. 2012」(ハマー美術館、ロサンゼルス、2012)、「Energy That is All Around: Mission School」(Grey Art Gallery、ニューヨーク、2014)、「Fertile Ground: Art and Community in California」(Oakland Museum of California、サンフランシスコ近代美術館、2014-2015)、「From Funk to Punk: Left Coast Ceramics」(Everson Museum of Art、ニューヨーク、2017)、「The Domestic Plane: New Perspectives on Tabletop Art Objects, Objects Like Us」(Aldrich Contemporary Art Museum、コネチカット、2018)、「New Time: Art and Feminisms in the 21st Century」(バークレー美術館、カリフォルニア、2021)、「The Flames The Age of Ceramics」(パリ市立近代美術館、2021-2022)、「Funk You Too!」(Museum of Arts and Design、ニューヨーク、2023)などがあります。Neriの作品は、ロサンゼルス現代美術館、ブルックリン美術館、デ・ヤング美術館(サンフランシスコ)、ハマー美術館に収蔵されています。

WORKS

  • Weight in Gold, 2023

  • Waiting for the Sun, 2023

  • Woman Reclining in Landscape, 2023

  • Athena AI, 2023

  • Untitled (Mother Figure), 2023

  • Untitled (Burdened), 2023

  • Untitled, 2023

  • Easter, 2023

  • Untitled (Woman with Children in Her Lap), 2023

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