EXHIBITION

佐藤允

「求愛 / Q1」

2017/5/20 Sat - 6/24 Sat

KOSAKU KANECHIKAでは、2017年3月の開廊から2回目の展覧会として佐藤允展「求愛 / Q1」を開催いたします。
過剰、そしてオブセッショナルともいえるような、緻密な鉛筆の線描写。永遠に増殖し続けるかのように思える佐藤允のイメージは、描くことによって自らの存在、世界を捉えようとする作家の切実な試みを映し出しています。他人を理解することとはどういうことか、他人と心を繋がずに生きることはできるのか。これらの問いに突き動かされながら佐藤が描く、恋愛や性、生命、希望の溢れんばかりのエネルギー、そしてその一方にある不穏で深い闇、孤独、危うさ、恐れ。それらが調和し、あるいは不協和音を奏でながら、画面を埋めていきます。本展ではドローイングやコラージュに加え、近年取り組んでいるペインティングも展示します。

 



展覧会について

本展は人を傷つける、傷つけられるという、佐藤の制作自体の中心とも重なるテーマがあります。佐藤は以下のように述べています。

 

求愛

幼少期、絵を描いている私の絵を覗き込む大人達は皆、苦い顔をした。つまり、私の絵は気持ちが悪かったのだ。世の中には表してはいけない絵があり、作者の意志に関わらず、人を傷つけたり不快にさせる恐れのあるものは表現してはならないと教えてくれた先生もいた。

私は表現していたのではなく、ただ吐き出していただけだった。
周りの忠告から私は、隠れてこっそり絵を吐くようになった。

大人になり、その気持ちに変化はない。今でも、絵を描いていると、描いてはいけないんじゃないか、と躊躇することがある。誰かを傷つけてしまうかもしれないことは日常の中に沢山あって、その傷は目に見えないから、描く手を止めて考える。これは人に見せてよいものなのだろうか。描くこと自体が悪いことのようにも思う。

今回描かれているものは全て私のことだ。私は私を表す時程、清濁全てを覗いてみたいと思う。

絵に自分自身を写すことで、私を理解してくれる誰かを探している。
他人と心繋がず生きるのはとても苦しい。

私は絵になって、人に触れたい。

 

人と繋がりたいけれど、傷つけることも傷つけられることも避けたい。それは誰もが抱く思いです。佐藤の制作はパーソナルな事柄や問いから出発していますが、その切実さは鑑賞者の心をも動かします。またその一方で、「描く手を止めて考える」という習慣から佐藤が獲得した、俯瞰的で冷静な眼差しは、自身の描いたものを通してもう一度世界を捉えなおそうとしています。
本展のタイトルにある「Q1」には複数の意味が含まれています。「求愛」としての「Q1」、そして「問1」としての「Q1」。今年の3月11日、6年前に震災があった同時刻に、2匹の虫が恐れながら互いに近づきあおうとしている場面を描いた作品が偶然完成しました。「求愛」はその作品によって佐藤の頭に浮かんだ言葉で、現在の彼の表現活動において重要なキーワードだと感じたと言います。
人が誰かと完全に繋がり、一緒になるということは、人である以上不可能なことかもしれません。だからこそはかなく、美しいもの。絵画だけではなく、文学など様々な芸術において古くから続くこのテーマや理想を佐藤は追い続け、描いています。

 



展覧会概要

展覧会名
佐藤允「求愛 / Q1」

展覧会会期
2017年5月20日(土) - 6月24日(土)
5月20日(土) 18:00 - 20:00 オープニングレセプション

開廊時間
11:00 - 18:00(火・水・木・土)
11:00 - 20:00(金)
日・月・祝は休廊

会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA Art Complex 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com

入場無料




佐藤允(さとう あたる)

1986年千葉県生まれ、現在は東京を拠点に制作しています。2009年に京都造形大学芸術学部情報デザイン学科先端アートコースを卒業。2007年にニューヨークのメーア・ギャラリーで、2011年と2015年にギャラリー小柳で個展を開催。主なグループ展に「第8回光州ビエンナーレ」(2010)、「ヨコハマトリエンナーレ2011: OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?―」(2011)、「Inside」(パレ・ド・トーキョー、2014)などがあります。作品は高橋コレクション、ルイ・ヴィトン・マルティエにパブリックコレクションとして収蔵されています。

WORKS

  • 可愛い子, 2017

  • 豊饒の海, 2017

  • 求愛, 2017

  • Q1, 2017

  • 私, 2017

  • 怒り, 2017

  • Bleu, 2017

  • 偏愛, 2017

  • MAN, 2017

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