会場
COEX
513, Yeongdong-daero, Gangnam-gu
Seoul 06164 Republic of Korea
ブース番号
C14
出展作家
⻘⽊豊
沖潤子
佐藤允
武田龍
朝長弘人
平松典己
水上愛美
ダン・マッカーシー
KOSAKU KANECHIKAは、2025年9月3日(水)から9月6日(土)に開催されるアートフェア「Frieze Seoul 2025」に、⻘⽊豊、沖潤子、佐藤允、武田龍、朝長弘人、平松典己、水上愛美、ダン・マッカーシーのギャラリー作家8名の展⽰で参加いたします。
青木豊は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究する制作活動を行っています。二次元と三次元を自由に行き来するような作品や、素材の物質性や制作方法自体、そして鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品。刻々と変わる絵画の豊かな表情を、時間軸で瞬間としてとらえる試み。また特に青木は一貫して光へ – 光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさを捉え、また一方で光の存在の自明性自体を問い直すこと – アプローチしてきました。実験と新たな発見のプロセスを繰り返すことによって、青木は常に絵画そのものを再発見しています。
沖潤⼦は、⽣命の痕跡を刻み込む作業として布に針⽬を重ねた作品を制作しています。下絵を描く事なしに直接布に刺していく独⾃の⽂様は、シンプルな技法でありながら「刺繍」という認識を裏切り、観る者の根源的な感覚を⽬覚めさせます。古い布や道具が経てきた時間、またその物語の積み重なりに、彼⼥⾃⾝の時間の堆積をも刻み込み紡ぎ上げることで、新たな⽣と偶然性を孕んだ作品を⽣み出します。存在してきたすべてのもの、過ぎ去ったが確かにあった時間。いくつもの時間の層を重ねることで、違う⾵景を⾒つけることが制作の核にあります。
佐藤允にとってドローイングとペインティングは、⾃⾝や⾝の回りの存在を取り巻く⼈間の複雑な内情を記録し解釈するためのツールであり、印象的で正直、時には挑発的なイメージで個⼈的なテーマを探求しています。作品とは⾃分が⾃分のために、⽣きた⼈が⼈のために作り受け取るものだと考える佐藤は、「アートのためのアート」や新しさ、意味を求めることはしません。妄想、羞恥⼼、孤独、哀情、耽溺など、⼀般的に卑猥で不道徳とされる事柄であっても、精神の不可⽋な側⾯でもあるものから回避しようとはしません。⾃⾝の体験の⼼理学的な調査への直接的な⼊り⼝を開いています。
武田龍は、偶発的にできたシミや傷から喚起されるイメージを拾いながら絵画を制作しています。そこには彼が幼少期を過ごした田舎の森での経験や質が、視覚のみならず、聴覚や嗅覚、触覚を通して現れてくるといいます。また絵を描く行為をしばしば発掘に例える武田にとって、絵画は言語化することや分類することで失われてしまった無意識の領域をもう一度掘り起こす行為でもあります。
朝⻑弘⼈は、眼前のものがふと違って⾒える瞬間を捉え、それを絵画に起こそうとしています。前景と背景を交互に⾏き来したり、あるものを別のものとして解釈する際の視覚内の細かな移り変わり。これらは絵の具を重ね、拭い、跡を残していくという動作の繰り返しにも反映されています。作家の眼の中で起こる変化は、このように徐々に絵画における絵具の質へと変換され、画⾯に固定されます。⾃⾝に近しい対象を扱う朝⻑にとって、こうした運動は物理的、感情的な距離感を考察する場でもあります。描かれた絵画は固定されつつも再び動く予感を含んでおり、それは眼前の世界に対し作家⾃⾝が抱く寄る辺なさのあらわれでもあります。
平松典己の絵画は、特定のモチーフから出発することなく描かれ始め、90度ずつ回転させ、数週間から数ヶ月かけて油彩を重ねていく中で事後的にモチーフを見つけるようにして描かれています。抽象的な構成と色彩が呼応するように、一見つながりのない背景やストロークの痕跡から、特徴的な人物などのモチーフが浮かび上がってきます。平松は自身の創作過程を、目的を持たない存在の探求と表現しています。
水上愛美は、時間的な行為の集積であるオブジェクトとして絵画を制作しています。古今東⻄の神話や伝承、歴史上の寓話や悲劇から引用したイメージをキャンバス上に出現させては、砂が混ざった顔料で塗りつぶし、その上から新たなイメージを描くことを繰り返します。そうした取り組みにより生まれる複層的な絵画は、鑑賞者に静止していると仮定されたイメージを網膜で享受する体験を与えるのではなく、人間の未知の領域に対する時間や、現実と仮想など様々な想像力を喚起させます。
ダン・マッカーシーはその30年以上のキャリアにおいて国際的に作品を発表しています。ペインティングやドローイングといった平面作品と並行し制作しているのが、彼のアイコン的な作品である顔のモチーフのセラミックの彫刻作品《Facepot》シリーズです。その鮮やかな色合い、豊かな表情、親しみやすさ、プリミティブな感覚、作家の手の跡を感じさせる直接性。それらの要素があいまって、視覚的側面にとどまらない、身体あるいは感情に働きかけるような鑑賞体験を鑑賞者に与えます。
本展では約20点を展⽰します。この機会に是⾮ご⾼覧下さい。