展覧会名
青木豊「U」
展覧会会期
2025年1月18日(土) – 3月1日(土)
オープニングレセプション
2025年1月18日(土) 17:00 – 19:00
開廊時間
11:00 – 18:00
日・月・祝は休廊
会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA ART COMPLEX I 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com
入場無料
KOSAKU KANECHIKAでは、2025年1⽉18⽇から3⽉1⽇まで天王洲にて、また1月25日から3月8日まで京橋にて、青木豊展「U」をそれぞれ開催いたします。
青木豊は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究する制作活動を行っています。二次元と三次元を自由に行き来するような作品や、素材の物質性や制作方法自体、そして鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品。刻々と変わる絵画の豊かな表情を、時間軸で瞬間としてとらえる試み。また特に青木は一貫して光へ – 光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさを捉え、また一方で光の存在の自明性自体を問い直すこと – アプローチしてきました。実験と新たな発見のプロセスを繰り返すことによって、青木は常に絵画そのものを再発見しています。
KOSAKU KANECHIKAでは7度目となる本展に際し、青木は以下のようなステートメントを寄せています。
走る馬を断続的に撮影した「動く馬」(エドワード・マイブリッジ、1878)にて、馬が走っている最中に宙にいる瞬間があることがわかった。解剖学者の養老孟司氏はこのような写真から、目には時間が⼊っていないと語っており、⽬は瞬間を捉える装置だと考えることができる。
時間については1994年にメキシコの洞窟で撮影された映像が参考になる。スカイダイビング中に撮影された記録には棒状の生物と思しきものが写り込んでいて、スカイ・フィッシュと名付けられた。想定の姿がイラスト化されると未確認生物として世間を賑わせた。飛び降りたダイバーと空中を飛ぶ虫に生じた作用から描かれたイラストは時間の概念が具現化したものと言える。
瞬間と時間の混在は⽇々起こる。僕は電車で寝過ごすことがあり、目的地が終点だとなおのことだ。終点から数駅のところで目が覚める。自分の意識とは逆方向に身体が揺れて動き出したときに電車が折り返して走っていることを知る。起きたばかりの脳には時間の矢印がどちらに向いているのかわからないので、この時に生じる混乱が面白くて自分の感覚と賭けをしている。
瞬間と時間の間には数えられないものがある。時間を知るには作用元の働きと具体的な身体感覚が不可欠である。これを絵画に導入したい。
固定化しえないものとして、本展のタイトルをU(不可算名詞)とした。
「瞬間」と「時間」、そしてその間にある数えられないもの。こういった世界の構造や多様な現象を認識するという行為と、絵画の平面性や物質性という普遍的かつ根源的な問題への探究を重ね合わせるのが青木の制作の核となっています。ある発見があれば、それによって次の取り組むべき問いが生まれるといったように、彼の探究は続いていきます。世界の諸相が均一に感じられるような情報化の時代にあって、固定化しえないものを探究し続けるその過程が、彼の作品群に現出しています。天王洲のスペースでは小さめの、京橋のスペースでは大型のいずれも新作作品を、あわせて40点展示します。この機会にぜひご高覧ください。
青木豊(あおき ゆたか)
1985年熊本県生まれ、現在は東京を拠点に制作しています。2008年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業、2010年同大学院造形研究科美術専攻領域修了。主な個展に「multiprime」(hiromiyoshii、2011)、「外の部屋、中の庭」(熊本市現代美術館、2012)、「Mouvements | ムーブマン」(Sprout Curation、2014)、主なグループ展に「絵画の在りか」(東京オペラシティ アートギャラリー、2014)、「VOCA展」(上野の森美術館、2016)、「きっかけは「彫刻」。―近代から現代までの日本の彫刻と立体造形」(熊本市現代美術館、2019)、「メタマテリアリズム ―物質を超えて―」(⽇本橋三越本店 本館6階 コンテンポラリーギャラリー、2021)、「CAMKコレクション展 Vol.7 未来のための記憶庫」(熊本市現代美術館、2023)、「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」(東京都現代美術館、2024)などがあります。作品は熊本市現代美術館、高橋龍太郎コレクションにパブリックコレクションとして収蔵されています。KOSAKU KANECHIKAでは2017年、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年に続き、7回目の個展になります。