EXHIBITION

青木豊

「Today's」

2019/3/9 Sat - 4/13 Sat

KOSAKU KANECHIKAでは、3月9日より青木豊展「Today’s」を開催いたします。
青木豊は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその可能性を追究する制作活動を行っています。絵を描くということはどういうことか。絵を描くために何ができるのか。それを知るために立体を取り入れ、絵画は立体をつくるように、立体は絵画を描くように制作。またそれらを混在させて展示空間を作り上げたり、絵画の物質的側面を際立たせる作品や螺旋構造を取り入れて、目線の動きや物質と精神性について探求するなど、様々な試みをしてきました。
その青木の制作には一貫して光への眼差しがあります。光は長きにわたって、絵画において取り組まれてきたテーマですが、青木は特にその立体化 – つまり光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの特定の環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさ – を追究しています。
本展では新作のペインティング19点を展示します。近年までは作品同士のもつ関係性への意識が強かったのに対し、今回の作品は、これまでの探求から得られた要素がすべてペインティング1点1点に集約されたようなシリーズだと青木は言います。本展は、その独立したそれぞれのペインティングが部分あるいは要素となり、展示空間で新たな展開をみせていく可能性を秘めた、作家にとって重要な転機となるような個展です。

 



展覧会について

青木は本展について、以下のステートメントを寄せています。

 

展覧会タイトル、Today’sは、絵画がひとときとして同じかたち・色彩には留まらないことを記しています。これまで行ってきた光へのアプローチを、光の立体化、インタラクティブ・ペインティング(双方向のコミュニケーションを可能とする絵画)と拡大し、見る行為の現在を考えます。
光から現れるボリュームは、場所・時間・背景など周りのコンテクストを敏感に反映します。目が触れてきた光景を参照点に平面上へ変換する。これは単に自然の一部を再現するのではなく、環境の部分もしくは全体の可視化を試みるものであり、作品の前に立った際の共鳴を引き出すための言語だと言えます。
人が絵を見るとき、置かれた環境下での視線や身体の動き・位置関係などによって常に変化する、もっと言えば、各々の理解・経験を通した特定の観点や思考を立ち上げることによって、絵画と人が双方向のコミュニケーションを行うこと。絵画はふと現実の世界に現れ、網膜の裏側へ作用します。
色彩として生と死、そして、近視眼的な社会に対するささやかな抵抗としてバイオレット。場には決定的に1枚の絵があり、隣にはまた1枚の絵があります。環境と、それを享受した自身との間にある溝。ここに現代の目と思考に対する問いが現れると期待しています。
ボリュームを持たない世界には光も影も現れないことから、生も死も存在しないといえるでしょう。その世界では無のみが静かに横たわり、無の寝息に聞き耳を立てるしかありません。
しかし、人が絵を動かすことも、絵の正面以外に立つこともできるのです。こうした行為はたしかな生の存在確認になるのだと思います。

 

私たちはデジタル化し、ブルーライトがあふれる日常環境に生きています。それに対し、太陽光に含まれ、近視を抑制するといわれているバイオレットライトを色彩の選択に入れたり、質量、またその微細な側面、ささくれや折れ目などに注目したりすることで、青木は普段見えていなかった美しさや可能性を可視化させ、現代における見るという行為についての考察を促します。
それは絵画というものの可能性を考えることでもあります。デジタル化する時代だからこそ、もしかすると質量、ボリュームに対する人間の感覚は強くなるのかもしれません。絵画の新たな地平を目指す青木の試みを是非ご高覧下さい。

 



展覧会概要

展覧会名
青木豊「Today's」

展覧会会期
2019年3月9日(土) - 4月13日(土)
3月9日(土) 18:00 - 20:00 オープニングレセプション

開廊時間
11:00 - 18:00(火・水・木・土)
11:00 - 20:00(金)
日・月・祝は休廊

会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA Art Complex 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com

入場無料




青木豊(あおき ゆたか)

1985年熊本県生まれ、現在は東京を拠点に制作しています。2008年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業、2010年同大学院造形研究科美術専攻領域修了。主な個展に「multiprime」(hiromiyoshii、2011)、「外の部屋、中の庭」(熊本市現代美術館、2012)、「Mouvements | ムーヴマン」(Sprout Curation、2014)、主なグループ展に「絵画のありか」(東京オペラシティ アートギャラリー、2014)、「VOCA展」(上野の森美術館、2016)、「形が変わることで見えるもの(見えないもの)」(熊本市現代美術館、2016)などがあります。作品は熊本市現代美術館、高橋コレクションにパブリックコレクションとして収蔵されています。KOSAKU KANECHIKAでは2017年に続き、第2回目の個展になります。

WORKS

  • Untitled, 2018

  • Untitled, 2018

  • Untitled, 2018

  • Untitled, 2018

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