展覧会名
地層の胎動
展覧会会期
2026年6月27日(土) – 8月8日(土)
オープニングレセプション
2026年6月27日(土) 17:00 – 19:00
開廊時間
11:00 – 18:00
日・月・祝は休廊
会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA ART COMPLEX I 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com
入場無料
アーティスト
植松永次
桑田卓郎
坂本紬野子
安永正臣
KOSAKU KANECHIKAでは、6月27日から8月8日まで、天王洲にて奈良美智キュレーション展「地層の胎動」を開催いたします。
2017年のオープン以来、弊廊は絵画のみならず多様な媒体を扱ってまいりましたが、中でも陶芸という表現には一貫して注力してきました。このたび、セラミック表現の可能性を提示すべく、自らも陶芸作品を手がける奈良美智に本展のキュレーションを依頼いたしました。
この問いかけに対し、奈良は「ひとつ作品が置かれるだけで、その周りの空気までも立ち上がってくるような作家」4名を選出しました。本展は植松永次、桑田卓郎、坂本紬野子、安永正臣の作品約30点によって構成されます。
KOSAKU KANECHIKAでは初となる試みとなる本展に際し、奈良は以下のようなテキストを寄せています。
「地層の胎動 ― 焼かれながら在り続ける」
彼が美術業界に足を突っ込んだ時から付き合いのある金近くんから展覧会のキュレーションをして欲しいと頼まれた。二つ返事で引き受けたのはいいのだけど、いわゆる陶芸界は現代美術と言われるものも、工芸もよく知らないし陶芸史にも詳しくはない。ただ陶芸と呼ばれる分野の面白さ奥深さは、絵画や彫刻のように知っているのではないかと思った。そして自分の造形論的観点からちょっと知っている人たちを選んでみることにした。
あくまでも造形を念頭に置いたので、いわゆるキャラクターぽいポップな作風の作家は選んでいないし、工芸的に完成されている作家も選んではいない。表層ではなくもっと地層的な密度が感じられる作家、あるいはデザイン的な立体構成から少しズレのある作家、すなわち、土と火と時間と偶然が織りなす「不可逆的な痕跡」を身体感覚で捉え、それを自分の身体や存在の延長として立ち上げているような作家たちを選んだつもりだ。彼らの作品は、完璧なフォルムや美しい釉調をめざすのではなく、むしろ「未完であること」「制御しきれないこと」「壊れうること」を内包しながら、それでもなおここに在る、という強度を持っている。表層を拒む地層とも言える植松永次や安永正臣は選考にあたって真っ先に浮かんだ名前だ。坂本紬野子はよく知られたブランクーシの無限柱やカール・ブロスフェルトの植物写真のような単体の存在ではなく、集合体の不完全さによる地層の動性が特徴的な最近作を選んだ。そして桑田卓郎の良さは逆説的に表層の豊かさにあるのだと思った次第である。
陶という素材が持つ原始的な重さと、作家の個人的な記憶や身体性が、表層を突き破って立ち現れる瞬間を、私はこの展覧会で彼らと共有したかったのだ。
本展では、陶という素材を起点としつつ、各作家が異なる身体感覚および時間意識のもとで形成した作品群が展示されます。陶芸の根源的要素を内包しながら、工芸および現代美術の既存の枠組みを超えて展開されるこれらの作品は、複層的な鑑賞体験を提供します。完成された様式や技巧に拘泥することなく、素材に刻まれた時間性、身体性、ならびに制御しきれない偶然性に着目する奈良美智の視点は、本展に参加する作家の造形と深く呼応しています。
奈良美智キュレーションによる本展を、この機会にぜひご高覧ください。
協力:Gallery 38、Nonaka-Hill
植松永次(うえまつ えいじ)
1949年兵庫県⽣まれ。1975年に滋賀県信楽に拠点を移り、製陶工場勤務の傍ら自らの制作を始めます。1982年から現在までは、三重県伊賀市丸柱で制作しています。主な個展に
「植松永次 陶芸展 ―土の形―」(伊丹市工芸センター、兵庫、2007)、「土・火―根源へ」(小海町高原美術館、長野、2009)、「土と火」(兵庫陶芸美術館、2020)、「特集展示 植松永次―土と火」(三重県立美術館柳原義達記念館、2024)、主なグループ展に「セラミック アネックス シガラキ」(信楽伝統産業会館/滋賀県立近代美術館ギャラリー、1986)、「現代陶芸国際激請展」(国立歴史博物館、台北、1992)、「BIWAKO BIENNALE 2010」(滋賀、2010)、「革新の工芸 – “伝統と前衛”−そして現代」(東京国立近代美術館工芸館、2016)、「ホモ・ファーベルの断片 ―人とものづくりの未来―」(愛知県陶磁美術館、2022)などがあります。作品は京都国立近代美術館、兵庫陶芸美術館に収蔵されています。
桑⽥卓郎(くわた たくろう)
1981年広島県⽣まれ。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業後、2002年に陶芸家の財満進氏に師事、2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県多治見市で制作しています。主な個展に草月会館 1F 石庭「天国」(東京、2015)、「Dear Tea Bowl, Horsetails are in season in Hagi.」(山口県立萩美術館・浦上記念館、2019)、「日々」(音羽山清水寺、京都、2019)、「TEA BOWL PUNK」(Mead Gallery、コヴェントリー、2025)、主なグループ展に「⼯芸未来派」(金沢21世紀美術館、⽯川、2012)、「Japanese Kōgei | Future Forward」(Museum of Arts and Design、ニューヨーク、2015)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館、東京、2020)、「北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2021」(大瀧神社・岡太神社、福井、2021)、「Strange Clay: Ceramics in Contemporary Art」(Hayward Gallery、ロンドン、2022)、「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」(森美術館、東京、2025)があります。 2018年にLOEWE Craft Prize 2018の特別賞を、2022年に日本陶磁協会賞を受賞。作品は金沢21世紀美術館、国立⼯芸館、樂翠亭美術館、シカゴ美術館、メトリポリタン美術館、ルベル・ファミリー・コレクションなどに収蔵されています。
坂本紬野子(さかもと ちのこ)
1992年東京都生まれ。2016年にロンドン芸術大学キャンバウェルカレッジオブアーツ彫刻科卒業。現在は長崎県を拠点に制作しています。主な個展に「No Stranger」(Playmountain EAST、サンフランシスコ、2019)、「いま初めて見る」(イデーショップ 自由が丘 IDÉE GALLERY AND BOOKS、東京、2020)、「Textures of Encounter」(VOU/棒 Kyoto、京都、2021)、「Chinoko Sakamoto」(CURATOR’S CUBE、東京、2022)、「Chinoko Sakamoto Studio work」(スパイラル Entrance、東京/「+S」Spiral Market 大阪タカシマヤ、2023)、「Monuments」(VAGUE ARLES、アルル、2025)、主なグループ展に「Un panorama japonais très actuel」(Gallery Le Don du Fel、ル・フェル、2018)、「Finding Form」(FLOW GALLERY、ロンドン、2019)、「Collect 2020」(Somerset House、ロンドン、2020)、「カンヴァスの同伴者たち 高橋龍太郎コレクション」(山形美術館、2024)、「Un livre est comme un jardin que l’on porte dans sa poche」(Librairie Yvon Lambert、パリ、2025)があります。作品は滋賀県立陶芸の森、高橋龍太郎コレクションに収蔵されています。
安永正臣(やすなが まさおみ)
1982年大阪府⽣まれ。2000年に大阪産業大学大学環境デザイン専攻に入学後、2003年に陶芸家の星野曉氏に師事、2006年に大阪産業大学大学院環境デザイン専攻修了。現在は三重県伊賀市で制作しています。主な個展に「オリエントの記憶」(ギャラリーうつわノート、埼玉、2018)、「Masaomi Yasunaga」(Nonaka-Hill、ロサンゼルス、2019)、「Empty Landscape」(Libby Leshgold Gallery、バンクーバー、2020)、「Masaomi Yasunaga」(Lisson Gallery、イーストハンプトン、2021)、「Masaomi Yasunaga: Treading the Earth」(Lisson Gallery、上海、2025)、主なグループ展に「OBJECT&THINGS at The Noyes House」(ニューケイナン、2020)、「ロマンティック・プログレス」(岐阜県現代陶芸美術館、2022)、「A Matter of Life and Death」(Thomas Dane、ナポリ、2022)、「エマイユと身体」(銀座メゾンエルメス フォーラム、東京、2023)があります。作品はアリアナ美術館、岐阜県現代陶芸美術館、ヒューストン美術館、The Jule Collins Smith Museum of Fine Artなどに収蔵されています。