展覧会名
舘鼻則孝 「Obsession」
展覧会会期
2025年10月11日(土) – 11月29日(土)
オープニングレセプション
2025年10月11日(土) 17:00 – 19:00
開廊時間
11:00 – 19:00
日・月・祝は休廊
会場
KOSAKU KANECHIKA
〒104-0031
東京都中央区京橋1-7-1
TODA BUILDING 3F
03-3528-6720
kosakukanechika.com
入場無料
KOSAKU KANECHIKAでは、10月4日から11月22日まで天王洲にて舘鼻則孝展「Sacred Reflections」を、また、10月11日から11月29日まで京橋にて舘鼻則孝展「Obsession」を開催いたします。
今回同時に開催される二つの個展は、互いに対照的な性質を備えています。ひとつは、大学卒業以来、日本文化の再構築を主題に、工房制を基盤として舘鼻則孝が展開してきたNORITAKA TATEHANA STUDIOとしての活動的な創作。もうひとつは、舘鼻自身の個人的な記憶や関心に根ざした創作です。
天王洲での「Sacred Reflections」展では、文化の継承を主題に、「和歌」と「鏡」をモチーフとした作品を展開します。和歌は古来より、詠まれると同時に書写されることで継承されてきました。本展では、舘鼻自身が『古今和歌集』から選んだ和歌を自らの筆で書写し、その行為を通して日本語の美しさや精神性を表現するとともに、「受け継ぐ」という意味を作品に反映しています。さらに、作品の支持体のモチーフとなった「鏡」は、文化の記憶を映し出すと同時に、鑑賞者自身も作品を介して継承の一端を担うことを示唆しています。
舘鼻は「Sacred Reflections」展に際し、以下のように語っています。
鏡は記憶の器となり、詩的な思考が時を超えて静かに刻まれていきます。書写という行為を通じて過去の文化は新たに語りはじめ、伝統は静止の中にあるのではなく、繰り返されることで受け継がれていくのだということが明らかになるでしょう。
古今和歌集という日本の伝統文化の象徴は、鏡に見立てた支持体に写し出されることで、単なる伝承ではなく新たな視点から再考察されます。本来、鏡は「自己を映す装置」ですが、作品を通じて「自己と文化の対話」を促すツールに変わります。それは「自分自身の中にある文化的記憶を再考する」行為、すなわち「Rethink」の実践そのものです。
一方、京橋で開催される「Obsession」展では、スタジオでの組織的な創作活動とは対照的に、舘鼻自身が絵筆を手にして制作した肉筆画のみを展示公開します。大学卒業以来の15年間にわたる作家活動を経て、最もプリミティブな美術との向き合い方に立ち返ることで、自身の歩みや表現の根源を見つめ直す機会となっています。
「Sacred Reflections」展の工房制での創作が、文化や伝統の継承に焦点を当てた作品であるのに対し、「Obsession」展は舘鼻自身の内面や個人的な記憶に向き合った創作を通して、対照的な視点から作家の軌跡と精神性を伝える展覧会となっています。
舘鼻は「Obsession」展に際し、以下のように語っています。
私の活動は、自分が想像した以上に大きな広がりを持ち、社会的な意義を帯びるようになり、個人の枠を超えた意味を持つようになりました。しかし同時に、個としての価値観や美意識を見失いそうになる瞬間も幾度となく訪れました。
そんな中で、ひとりの作家として、自分自身と向き合いながら手を動かして作品を生み出すことが心の均衡を保つ唯一の方法であると感じました。
筆を通じて生まれる線や色彩には、思考や感情の揺らぎ、葛藤や迷い、微かな喜びまでもが表れます。描く行為そのものが、過去と現在、内面と外界との対話であり、心の奥にある記憶や感覚を可視化することにつながっています。
今回は、時間や空間の広がりとともに作家の内面を深く掘り下げ、その複数の次元にわたる探究を接続させる意欲的な試みです。天王洲のスペースでは約15点を、京橋のスペースでは約10点を展⽰します。この機会にぜひご⾼覧ください。
舘鼻則孝(たてはな のりたか)
1985年東京都⽣まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に⽣まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく⼈形作家である⺟の影響で、幼少期から⼿でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術⼤学美術学部⼯芸科染織専攻を卒業。遊⼥に関する⽂化研究とともに、友禅染を⽤いた着物や下駄の制作をする。「Future Beauty」(東京都現代美術館など国際巡回、2012)、「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、東京、2014)、個展「呪⼒の美学」(岡本太郎記念館、東京、2016)、個展「Itʼs always the others who die」(POLA Museum Annex、東京、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド⽇本庭園、2019)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館など4会場を巡回、2020-22)、個展「Distance」(⼭⼝県⽴萩美術館・ 浦上記念館、2023) 等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表しています。2016年3⽉にパリのカルティエ現代美術財団で⽂楽公演を開催など、幅広い活動を展開しています。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されています。また昨年に続き、富⼭県富⼭市、⽯川県⾦沢市にて開催されている 「GO FOR KOGEI 2025 ⼯芸的なるもの」(10⽉19⽇まで)にも参加しています。