EXHIBITION

青木豊

「まばたきもせずに」

2017/7/1 Sat - 8/12 Sat

KOSAKU KANECHIKAでは、2017年3月の開廊から3回目の展覧会として、青木豊展「まばたきもせずに」を開催いたします。
絵画を通して世界を認識すること、そして世界との関係で絵画というものを理解し、その可能性を追究すること。青木豊は様々なアプローチをとりながらも、一貫してそれに取り組んできました。平面と立体を混在させるインスタレーション、絵具を盛り上げて描いた山脈にスプレーで着色することで筆触を際立たせるシルバーのシリーズ、遺伝子構造をモデルに折り目をつけて開き、一方向から着色した紙のシリーズなど、二次元と三次元を自由に行き来するような作品を発表しています。視点を変えることで眼前に広がる景色が変化するということ、また特定のイメージを表象するのではなく、素材の物質性や制作方法自体、そしてそれらが互いにどう反応しあうか、そのプロセスが一枚のペインティングを成り立たせているということを示し、絵画の視野を広げるような制作活動を続けています。本展では上述のシルバーのシリーズを中心に、新作のペインティング約15点を展示します。

 



展覧会について

青木は本展について以下のステートメントを寄せています。

 

白い布のゆらぎ。
以前伊勢神宮を参拝した際、世界がかたちづくられている構造を覗いてしまったのかもしれないという畏怖に似た感情が身体を貫通していきました。この混乱は正殿とわたしの間に存在する御幌から引き起こされたものであり、絵画を観てしまった、という言い知れない感覚にもなりました。
こう言ってしまうと乱暴ですが、場に存在するあらゆる要素には、そもそもその存在に理由などないのであって、絵画もある種同義なのかもしれません。
重要なことは、場になんの秩序もなく生じている要素それぞれが地続きで交わり合った際に起こること・あるいは起こらないことに対して、わたしたちはどのような認識を獲得することができるのか、ということなのだと思います。
御幌は、思考・物質・環境を、つなぐ、断ち切る、あるいはそのどちらでもない、といった意味において世界の構造そのものであり、その空間に立ち入った思考する動物、つまり人間が、認識の外側にあるものを知覚するための手がかりになるという機能を図らずも持ち合わせていると言えるでしょう。
そしてこの機能は絵画に課された役割でもあることから、絵画はこの世界の一部になり、また独立もすることができるのだと思います。
これらを実現させていることはなんなのかと考えると、途切れることの無い光と運動が交差する際に起こる、思いもよらないぶつかりなのではないか。
世界のいたるところに含まれる密やかな差異とそのエネルギーの密度といったらたまったものではありませんが、ささやかながら絵画を通じて無化された世界に立ってみたいのです。

 

ミニマリストの画家、ロバート・ライマンは、白というシンプルな色と、それと対称的なバラエティ豊かな展示方法、素材の選択によって、絵具の塗りあと、厚み、透明感、素材の質感、重量感など様々な絵画の物質的側面をあらわにします。雪が降れば、普段見えていなかったものがはっきりと見えてくるように、絵画は様々なものを見せてくれる可能性をもっていることをライマンは示しています。
青木もまた、光 – イリュージョンとしての光ではなく、展示空間の実際の光 – の力を借りながら、絵画のその豊かな可能性を追究し、独自のアプローチで見るという行為、そして知覚そのものについての考察をうながします。デジタル化する日常環境のなかで、人間としての様々な感性が呼び覚まされるような視覚体験を提供する、青木の作品を是非ご高覧下さい。

 



展覧会概要

展覧会名
青木豊「まばたきもせずに」

展覧会会期
2017年7月1日(土) - 8月12日(土)
7月1日(土) 18:00 - 20:00 オープニングレセプション

開廊時間
11:00 - 18:00(火・水・木・土)
11:00 - 20:00(金)
日・月・祝は休廊

会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA Art Complex 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com

入場無料




青木豊(あおき ゆたか)

1985年熊本県生まれ、現在は東京を拠点に制作しています。2008年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業、2010年同大学院造形研究科美術専攻領域修了。主な個展に「multiprime」(hiromiyoshii、2011)、「外の部屋 中の庭」(熊本市現代美術館、2012)、「Mouvements I ムーブマン」(sprout curation、2014)、主なグループ展に「絵画のありか」(東京オペラシティ・ギャラリー、2014)、「VOCA展」(上野の森美術館、2016)、「熊本市現代美術館コレクション展 形が変わることで見えるもの(見えないもの)(熊本市現代美術館、2016)などがあります。作品は熊本市現代美術館、高橋コレクションにパブリックコレクションとして収蔵されています。

WORKS

  • Untitled, 2017

  • Untitled, 2017

  • Untitled, 2017

  • Untitled, 2017

  • Untitled, 2017

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  • Untitled, 2017

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