展覧会名
朝長弘人 「雷」
展覧会会期
2025年3月22日(土) – 5月2日(金)
オープニングレセプション
2025年3月22日(土) 17:00 – 19:00
開廊時間
11:00 – 19:00
日・月・祝は休廊
会場
KOSAKU KANECHIKA
〒104-0031
東京都中央区京橋1-7-1
TODA BUILDING 3F
03-3528-6720
kosakukanechika.com
入場無料
KOSAKU KANECHIKAでは、3月22日から5月2日まで京橋にて、朝長弘人展「雷」を開催いたします。
本展に際し、朝長は以下のステートメントを寄せています。
雷という漢字は、上に「雨」、下に「田」から成る。
古くは「靁」であり、現在のものは略体である。さらに古い形では、稲妻を模した線の周りに「田」や点などの複数のフォルムが見られる。
線と、切り分けられたフォルム。
圧縮されてひとかたまりに固定されながらも、ぶつかって微動している。
下部の「畾(らい)」の字は、ものが積み上がってごろごろと音を立てる表現でもあるという。
雷は厚みや量を持たないが、切り分けたりかき混ぜる大きな圧力のようなものを持っている。うすく触れられないものが、ある硬さを伴ってはたらくところが、自分のやっていることに近いように思えた。
こすって圧し延ばすように描いているので、横に広げることや衝突について考えることが増えた。フォルムが打ち消しあい、絵は読みづらくなる。弱くなるわけではなく、いくつもの反応が充満している状態で、それを「硬い」と思う。
知らないものや読みづらいものを目の当たりにすると、ストレスを感じる。そのことで自分の体も硬くして、時間をかけてものを見る。
朝長は、眼前のものがふと違って見える瞬間を捉え、それを絵画に起こそうとしています。作家の眼の中で起こる変化は、徐々に絵画における絵具の質へと変換され、画面に固定されます。描かれた絵画は固定されつつも再び動く予感を含んでおり、それは眼前の世界に対し作家自身が抱く寄る辺なさのあらわれでもあります。
朝長の絵画は、絵肌に特徴があります。物理的な厚みはありませんが、筆で叩き上げたり、絵具を練り込んだり重ねたり、あるいは拭ったりすることで、深みのある絵肌が生まれています。画面の上で脈を打ち、呼吸しているような生々しさがあり、どこか消滅に向かうような印象も受けますが、決してささやかではありません。作品を実際に観ることで、画面で観る以上にその強さを感じるでしょう。
また、朝長は生活圏を遊歩するなかで目に残った景色や言葉を手帳に書き留め、反芻しています。その行為が絵画の制作に至った時、朝長のイメージや思考は、上述の技法により、像を結ぶことのない、漂い、振動するものとして描かれます。
朝⻑の作品がもつ定まらなさは、言語や世界のロジックを超え、また窮屈さを感じながらも私たちが安住している場所を揺り動かすようです。近作では、異なった要素をぶつけて起こる反応をひとつの画面内にまとめ上げることで、こちらに迫ってくるような充満感を立ち上がらせています。本展では、朝⻑の新作ペインティングを約10点展示します。この機会にぜひご覧ください。