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EXHIBITION

沖潤子

「蜜と意味」

2018/6/9 Sat - 7/21 Sat

蜜と意味 01, 2018
Photo by Keizo Kioku
© Junko Oki
Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
蜜と意味 04, 2018
Photo by Keizo Kioku
© Junko Oki
Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
蜜と意味 06, 2018
Photo by Keizo Kioku
© Junko Oki
Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
蜜と意味 09, 2018
Photo by Keizo Kioku
© Junko Oki
Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
KOSAKU KANECHIKAでは、2018年6月9日から7月21日まで、沖潤子展「蜜と意味」を開催いたします。

沖潤子は、古い布やボロが経てきた時間、またその物語の積み重なりに、刺繍と彼女自身の時間の堆積を刻み込み、紡ぎ上げることで、新たな生と偶然性を孕んだ作品を完成させます。

プロダクトデザインの仕事をしていた沖は、亡くなった母親の大事にしていた古いリバティの布を自身の娘が切り、とても自由な発想で刺繍付きのバッグを作ってプレゼントしてくれたことをきっかけに、引き取っていた母親の洋裁道具や布を使って創作活動を開始しました。

古い布をつなぎあわせ長い時間をかけて針を刺していき、最後は石鹸で洗い、干す。洗っていないボロからは黒い汁が出たり、また色のついている布からは色落ちして針目が染まります。この一連の作業を沖は「参加する」「混ざる」という言葉を使って表現します。そうすることで、布がもつ歴史、手の記憶が呼び起こされ、沖の作品として新たな生を得るのです。また下絵を描かずに施される細かな糸による針目は、縦横無尽に生地に広がり、刺繍とは思えぬほど濃蜜で力強い表情で、鑑賞者を圧倒します。
本展では新作約12点を展示します。



展覧会について

沖は本展に際して、以下のようなステートメントを寄せています。

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10時間眠ったら外はピカピカの春になっていた。机の上に朝まで刺していた制作中の布。眠気にたえきれず手を止めた時のそのままの形でそこにある。枕のへこみやシーツのしわと同じだ。時間がつくった布のかたちをただ眺める。どうして私は針目を加えている。私の時間が在ったことの、その痕をのこしたいのか。どれだけの言葉が訪れるだろう。集めた意味ぜんぶこの手に練りこみ、委ねてみようと思う。
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時間は沖の制作にとって、核となる存在です。使用する古い布が持つ時間、それを所有していた誰かの時間、そして沖が針を刺すことによって残す膨大な針目の持つ時間。それらの時間の中には様々な物語があります。

沖の作品において、その時間と物語は形を与えられて、私たちに語りかけます。布の繊維と沖の刺繍糸が物理的に絡み、つくりだされるもの。過ぎ去って行く膨大な時間が、目に見え、手に触れることのできるものへ姿を変え、とどめられるかのようです。

人間の営みというものは、そういったものに支えられているのではないでしょうか。経て来た時間の痕跡が無ければ、私たちの生活は無味乾燥であり、よりどころがなく、どこへ進んでよいかもわからなくなってしまうかもしれません。沖は、リルケの「マルテの手記」の以下の一節を愛してきたと言います。

「人は一生かかって、しかもできれば七、八十年かかってまず蜂のように蜜と意味を集めねばならぬ。詩はほんとうは経験なのだ。(中略)
追憶が自らの血となり、目となり、表情となり、名前のわからぬものとなり、もはや自身と区別することができなくなって初めてふとした偶然に一編の詩の最初の言葉は、それらの思い出の真ん中に、思い出の影から、ぽっかりと生まれてくるのだ。」(『マルテの手記』リルケ著 大山定一訳 新潮文庫)

本展は新シリーズ「蜜と意味」を中心に約12点を展示します。時間、経験が形を得て、そして生まれる詩。沖の作品のもつその豊かさを是非ご高覧ください。



展覧会概要

展覧会名
沖潤子展「蜜と意味」

展覧会会期
2018年6月9日(土)− 7月21日(土)
6月9日(土)18:00 − 20:00 オープニングレセプション

開廊時間
11:00 - 18:00(火・水・木・土)
11:00 - 20:00(金)
日・月・祝は休廊

会場
KOSAKU KANECHIKA
〒140-0002
東京都品川区東品川1-33-10
TERRADA Art Complex 5F
03-6712-3346
kosakukanechika.com

入場無料



沖潤子(おき じゅんこ)

1963年浦和市生まれ。現在は鎌倉市を拠点に制作しています。主な個展に「Recycle」(ARTS & SCIENCE 青山、東京、2009)、「刺青」(Gallery B、神奈川、2013)、「gris gris 」(DEE’S HALL、東京、2016)、「junko oki 」(Office Baroque、ブリュッセル、2017)が、主なグループ展に金沢21世紀美術館「コレクション展1 Nous ぬう」などがあります。2014年には、自身の撮影による作品集「PUNK」(文藝春秋)を刊行しました。また作品は金沢21世紀美術館に収蔵されています。KOSAKU KENECHIKAでは昨年に引き続き2度目の展覧会となります。また、今年9月には山形ビエンナーレに参加予定です。